
「違うこと」をしないこと (角川文庫)
吉本 ばなな
KADOKAWA / 2021-11-20
この本について
最近、「本当は行きたくないのに行ってしまう」「気づけば誰かの基準で予定が埋まっている」みたいな小さなズレが積み重なって、どこで間違えたのかよくわからなくなることがありませんか。自分のはずなのに、自分の動きじゃない感じ。僕もよくやってしまって、あとから妙な疲れだけが残ります。 吉本ばななの『「違うこと」をしないこと』は、そのズレを一気に解決するような派手さはないんですが、「あ、こういう視点で自分を見直していいんだ」と静かに整えてくれる本でした。特に響いたのは、未来から流れてくる“かすかな予感”に気づけるかどうかで、今の行動が変わっていくという話。言われてみれば、子どもの頃って目の前の生活を未来から逆算して動いていましたよね。あの感覚を思い出させてくれることで、「今ここ」でやろうとしていることが、自分の本音なのか、ノイズに引っ張られているだけなのかを見極めやすくなります。 それに、我慢や気遣いを積み上げていくと、だんだん自分がどこに戻ればいいかわからなくなるという指摘も、身に覚えがありすぎました。やりたいことがわからなくなった時も、「まずは、たった今ほしいものを正直に挙げてみる」という小さなスタート地点を示してくれるので、無理に大きな決断をしようとしなくていい安心感があります。自分の本質は変わらない、でもノイズで見えなくなる。その前提に立てると、不思議と息がしやすくなります。 今、自分のペースや感覚を取り戻したいと思っている人に、静かに効いてくる一冊だと思います。
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