
新しい声を聞くぼくたち
河野真太郎
講談社 / 2022-05-26
この本について
「なんであの言葉にこんなに反応してしまうんだろう」とか、「自分の中のモヤモヤの正体がつかめないまま、気づけば女性や社会全体にイラつきを向けてしまう瞬間がある」。そういう説明しづらい重さって、誰でも抱えたまま働いたり人と関わったりしていると思います。ぼく自身も、うまく言語化できないまま放置してきた感情がいくつもありました。 『新しい声を聞くぼくたち』が助けになったのは、そのモヤモヤを「個人の性格」ではなく、「能力と傷」「男性性の補綴」「幸福のカルト」といった枠組みで丁寧にほどいてくれるところです。たとえば、女性の“機嫌の悪さ”に過敏に反応してしまう構造や、怒りがどこかでねじれ、想像上の敵に転移してしまう流れを、実際の作品や社会の空気と並べて説明してくれる。読むうちに、攻撃性の発火点がどこにあるのか、そしてそれがどうして今の社会で強まりやすいのかが、少し具体的に見えてきました。 もう一つ大きかったのは、「弱者男性」とされる人々の語りの二面性を、短絡的な肯定や否定に落とさず扱うところです。傷があるのは事実だけれど、その傷がどんなふうに語られ、どこで他者への怒りにすり替わるのか。そこをまっすぐ見ることで、自分自身の反応の“根っこ”に触れる感覚がありました。 フェミニズムに対して距離がある人でも、「社会の中で自分がどう位置づけられているのかを整理したい」と感じているなら刺さると思います。個人の努力論に回収されない形で、今の生きづらさを言葉にしたい人に向いた一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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