
なぜ孫悟空のあたまには輪っかがあるのか? (岩波ジュニア新書)
中野 美代子
岩波書店 / 2013-09-20
この本について
日々仕事に追われていると、自分が見ている世界がやけに平面的に感じることがあって、「もう少し別の角度から物事を見られたらな」と思う瞬間がありませんか。知識を増やしたいというより、思考の窓をちょっとだけ広げたい。でも教養書を読むと難しさだけが残る、みたいなあの感覚。僕もけっこうそこでつまずきがちです。 この本を読んで面白かったのは、孫悟空やサルのイメージが、文化ごとにどう解釈されてきたかが具体的に描かれている点でした。たとえば、テナガザルの腕渡りを“仙人のようだ”と捉える中国人の感覚に触れると、「同じ動物を見ているのに、ここまで発想が違うのか」と驚かされます。あるいは、日本ではかわいい歌のイメージのアイアイが、本来は“驚きの叫び”から名付けられたことを知ると、ひとつの言葉の裏にどれだけの背景が詰まっているのかがよくわかります。こういう細部が積み重なることで、世界の見え方が少し立体的になるんですよね。 さらに、孫悟空が龍の力を受け継いでいたり、馬の保護者としてのサルのイメージがインドから東南アジアに広く分布していたりと、自分が物語だと思い込んでいた部分が、地域の信仰や生活文化とつながっているのが実感できます。神話や物語が“教養のための知識”ではなく、具体的な人々の感覚から積み上がったものだとわかると、読み方そのものが変わってきます。 神話や物語を、もう少し生活に近い目線で読み直してみたい人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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