
カメラを持て、町へ出よう 「観察映画」論(集英社インターナショナル)
想田和弘
集英社 / 2015-07-24
この本について
人を相手にするときって、つい「これはこういうものだろう」と思い込んでしまって、大事なところを見落としていたんじゃないか……と後から気づくことがよくあります。仕事でもプライベートでも、相手の言葉を取りにいくほど距離が遠くなったり、逆に何も聞けずに誤解したり。その中間がどこにあるのか、いつも迷います。 想田和弘さんの『カメラを持て、町へ出よう』は、その迷いにゆっくり手を添えてくれる本でした。抜粋にもある通り、「出会ったものは撮る、出会わなかったものは諦める」という姿勢や、「一番大事なことはあえて聞かない」という考え方は、一見カメラマンの話に思えるけれど、実際はふだんの観察やコミュニケーションにもそのまま響きます。相手を“理解しようとする圧”を手放して、ただよく見て聴く。その結果、見えてくる輪郭が確かにあるんだと感じました。 もう一つ刺さったのは、「自分がどう見えたのかをフェアに描く」という部分です。主観を消すのではなく、都合よく盛らない。その態度があるからこそ、相手の複雑さや矛盾をそのまま受け止められる。これは人間関係でも同じで、わからなすぎず、わかりすぎない“宙ぶらりん”の距離を保つことが、結果的に誠実さにつながる気がします。 観察が苦手だと思っている人よりも、「わかろうとしすぎて疲れがちの人」にこそ静かに刺さる本です。慌てて答えを取りに行かず、まずは目の前の現実をちゃんと見てみる。その当たり前を取り戻したいときに、そっと横に置いておきたくなりました。
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多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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