
心眼――あなたは見ているようで見ていない
クリスチャン・マスビアウ and 斎藤 栄一郎
この本について
日々、人の言動を見ながら「この人は何を考えているんだろう」と深読みばかりして疲れてしまうことがあります。自分の思い込みなのか、相手の意図なのか、どこまでが事実でどこからが解釈なのかが曖昧になるあの感じです。仕事でも私生活でも、判断を急いで後悔することが多い人ほど、こういうモヤモヤを抱えている気がします。 『心眼――あなたは見ているようで見ていない』は、その混線を一度ほどくような本でした。印象的だったのは、「相手が何を考えているかではなく、どのように考えているかを見る」という姿勢です。言葉の内容より、時間や空間にどう身を置いているかに注目する。これを意識すると、相手を“読み当てる”よりも、ただ観察することに集中できて、余計な決めつけが減っていきます。また、「判断保留」がこんなに落ち着かないものだという指摘にも救われました。決めないでいる時間を持つと、自分の中の先入観がどれだけ強かったかがよくわかります。 さらに、芸術家のエピソードが多いのですが、どれも「見るとはどういうことか」を現実的に教えてくれます。セザンヌが光を捨ててでも“見えるものの核心”に向かったように、私たちの日常でも、一見ただの風景や何気ない動作の中に、自分の注意のクセが現れていることに気づきます。意見ではなく経験そのものを扱う、という現象学の姿勢は、世界との距離感を少し変えてくれます。 思い込みの強さに悩んでいる人、あるいは人間関係の「読みすぎ」で疲れがちな人に、静かに効く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
読書の順序
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