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みんなが手話で話した島 (ハヤカワ文庫NF)

みんなが手話で話した島 (ハヤカワ文庫NF)

ノーラ エレン グロース and 佐野 正信

早川書房 / 2022-10-04

累計読者数15
平均ハイライト数 12件/人
推定読了時間 約3時間13分
star総合評価 49/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 19%

この本について

日常で「配慮しているつもりなのに、どこか線が引かれてしまう感じ」を覚えることがあって、どうしたら本当の意味で人と混ざれるんだろう、と考えることがあります。相手の事情を理解しようとしても、どこか“こちら側の前提”が残ったままになるというか、意識だけでは越えられない壁ってありますよね。 『みんなが手話で話した島』を読んで驚いたのは、島民が“特別な支援”をしたわけではないのに、聾者が社会に完全に溶け込んでいたという事実でした。出生記録にさえ聾者であることを書く必要がなかったというのは、立派な理念ではなく「そうするのが当たり前だった」から。健聴の人が自然に二言語を使うようになったのも、「適応してあげる」のではなく、一緒に暮らすうちにそうなっただけ。読んでいると、変わったのは聾者ではなく“社会の側”だったことに気づかされます。そこが、今の世界と決定的に違うところでした。 この本の何が効くかというと、まず「障害者に合わせるとはどういうことか」という抽象的な議論が、具体的な生活の風景として見えてくること。そして、共同体が少し変わるだけで孤立が消えていく過程が、理屈ではなく実例として理解できること。さらに、自分も知らぬ間に“適応の負担を相手に押しつけていたかもしれない”という視点の転換が静かに起きます。 他者との距離感にいつも迷う人に刺さる一冊だと思います。私自身、読後しばらく島の空気が頭から離れませんでした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾(ろう)というだけでした」(本文より)アメリカ・ボストンの南に位置するマーサズ・ヴィンヤード島。20世紀初頭まで、遺伝性の聴覚障害のある人が多く見られたこの島では、聞こえる聞こえないにかかわりなく、誰もがごく普通に手話を使って話していた。耳の聞こえない人も聞こえる人と同じように育ち、社交し、結婚し、生計を立て、政治に参加した。「障害」「言語」そして「共生社会」とは何かについて深く考えさせる、文化人類学者によるフィールドワークの金字塔。解説:澁谷智子(成蹊大学教授、『ヤングケアラー』『コーダの世界』著者)
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