
増補 女性解放という思想 (ちくま学芸文庫)
江原由美子
累計読者数8
平均ハイライト数 33.5件/人
star総合評価 68/100
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この本について
仕事でも生活でも、「どこまでが自分の選択で、どこからが社会に押しつけられた役割なのか」がよく分からなくなることがあります。たとえば、昇進の話が出たときに、なぜか「自分が女であること」を確認させられるような瞬間がある。あの微妙な圧や違和感に名前がつかないままだと、モヤモヤだけが積もっていくんですよね。 この本が面白いのは、そうした“名前のつかない圧力”を、歴史の流れや議論の変遷の中で位置づけてくれるところです。近代か反近代かを踏み絵のように迫られる構造や、「女性原理」という言葉がどう読まれてしまうのか、あるいは性差をめぐる問いに潜む「脅し」の仕組みなど、普段は空気として吸っているものを一度立ち止まって見直せる。自分でも気づかないうちに前提にしていた線引きが、ゆっくりほどけていく感じがあります。 もうひとつ、自分の身体や役割が“他者の期待のためにあるもの”として扱われがちな現実を、本書はかなり丁寧に言語化します。主体性を発揮するためには勇気だけでどうにもならない構造がある、という指摘に触れると、自分の弱さではなく環境の問題だった部分が見えてきます。 「近代/反近代みたいな大きな言葉で判断を迫られるのにうんざりしている人」には、とても静かに効く本だと思います。
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