
法廷遊戯 (講談社文庫)
五十嵐律人
講談社 / 2023-04-14
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分の判断は本当に正しかったのか?」と振り返ってしまう瞬間ってありますよね。焦って決めたことが後々まで尾を引いたり、誰かの言葉を深読みしすぎて自分を苦しめてしまったり。僕自身、そんなモヤモヤを抱えたまま動き続ける日が多くて、この本を読んだときに、妙に胸の奥がざわつきました。 『法廷遊戯』が刺さるのは、正義や罪の話を描いていながら、最終的には「判断する側の人間の弱さ」に丁寧に触れていくところです。慣れが感覚を鈍らせること。焦りが大切な線を越えさせること。正しさを追っているつもりで、気付かないうちに誰かを追い詰めてしまうこと。作品の中で起きる“無辜ゲーム”は特殊な仕組みなんですが、そこで揺さぶられている登場人物たちの姿を見ていると、自分の中の判断基準がちょっとだけ整理されていく感じがありました。特に、「人を裁くとき、自分自身の曖昧さや恐さをどう扱うか」を避けずに描いているのが、この物語の重さであり価値だと思います。 読んでいて感じたのは、正義や信念って華々しいものではなくて、ほんの些細な選択の積み重ねでしかないということでした。誰かを救うつもりで動いたことが別の誰かを追い詰める場面や、言葉にしなければ伝わらないのに、言葉にすると壊れてしまう関係。このあたりの描写が刺さっている読者が多いのも納得で、僕自身も何度かページを閉じて深呼吸しました。 「自分の判断に自信が持てず、でも逃げるわけにもいかない場面が多い人」に、とても静かに効いてくる本です。正義とか罪とかの話に見えて、実は“自分の中の曖昧さとどう向き合うか”をそっと照らしてくれる物語でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
読書の順序
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