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客観性の落とし穴 (ちくまプリマー新書)

客観性の落とし穴 (ちくまプリマー新書)

村上靖彦

筑摩書房 / 20230608

累計読者数17
平均ハイライト数 13.3件/人
star総合評価 55/100
start序盤集中型
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この本について

数字やラベルで人を語る空気に、どこかモヤモヤすることがありませんか。子どもの発達の話でも、仕事の評価でも、「客観的だから正しい」と言われると、それ以上言い返せない感じがして。でも本当にそれで大事な部分は守れているのか、ふと立ち止まりたくなる瞬間があります。 『客観性の落とし穴』は、その違和感を丁寧に言葉にしてくれる本でした。発達障害という名称が支えにもなる一方で、安易なラベルが分断を生むことがあること。統計や偏差値が「世界そのもの」のように扱われ、人の経験が数字に押しつぶされていくこと。そうした状況に対して、この本は「数字の外で起きていることをもう一度見よう」と促してくれます。特別な結論を押しつけるというより、経験の生々しさを回復するための視点をそっと差し出す感じです。 読んでいて強く感じたのは、弱い立場の人ほど数値化の世界に従順にならざるを得ないという指摘の重さでした。だからこそ、偶然に満ちた私たちの経験をどう語り直すかが問われる。この視点を持てるだけで、誰かを「平均」や「法則」で片づけそうになる瞬間に、足が止まるようになります。 数字に寄りかかりすぎる自分にちょっと疲れている人、または日常のもやもやをどう扱えばいいか迷っている人に刺さる本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

「それはあなたの主観ですか?」。こういった言葉を聞いたことがあるひとは多いだろう。なにかを発信する際、それが主観的な意見なのか、客観的な意見なのか、を明確にすることが求められる。よく作文と論文の違いを説明する際にも、作文は主観的なことを書いていいが、論文では客観的なことを書く必要がある、と言われている。そういった教育のせいか、客観的なことが正しくて、主観的なことは正しくない、もしくは、あなたが思っているだけでしょ、と非難されることが多い。では、そういった客観的なものが優勢になっていくなかで、主観的な感覚は捨てられてしまってよいものだろうか? 著者の村上氏はそうは考えない。それは、数値が優位にたって世界においては、1人ひとりが持つはずの経験のリアリティが失われがちであるからだ。統計を過信し、経験が数値に置き換えられてしまうとそこにはディテールが失われてしまうだろう。その経験のリアリティをみつけることが主観的に考えることだといえるだろう。自分の体をもち、それがなにかと出会い、出来事が体験し、それを語ることでリアリティをつかまえる手段となるのだ。
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