
「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か
林智裕
この本について
情報の話になると、数字の大小や「過去比◯倍」みたいな言い方だけが一人歩きして、不安だけが増えていく感じってありますよね。自分でも、何が危険で何が誤解なのか判断しづらくて、結局「声の大きい意見」に流されそうになる瞬間があります。しかも、その空気に違和感があっても、反論すると反動が返ってくるのも分かっているから余計に動けない。あの息苦しさは、多くの人が抱えているはずです。 この本は、そうしたモヤモヤの正体を「情報災害」という視点で整理してくれます。たとえば、正しいデータがあってもノイズが強いと届かないこと。安全と安心が全く別の問題で、後者が放置されると社会不安だけが膨らむこと。そして、一度共有された「正しさ」が、事実を上書きしてしまう構造そのもの。読みながら、自分がどこで判断を誤っていたのかよりも、「なぜ誤った判断が正しく見えてしまったのか」の方が腑に落ちていきます。特に、誤情報を避けようとするあまり何も言えなくなる空気の方にこそリスクが潜んでいる、という指摘には救われました。 個人的には、「継続的に情報を更新する態度」をどう実践すればいいかが、この本を通してかなり現実的に見えてきました。一度の判断で終わらせず、間違っていたら修正することを前提にしておく。可謬性を前提にしたスタンスは、仕事でもSNSでもそのまま使える視点だと思います。 情報の空気に飲まれやすい人、あるいは「自分の不安がどこから来ているのか」を知りたい人には、静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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