
普通という異常 健常発達という病 (講談社現代新書)
兼本浩祐
講談社 / 2023-01-19
この本について
人と関わる時に、相手の気持ちが「わかったつもり」になってしまう瞬間ってありませんか。あるいは、自分が何をおもしろいと思っていたのかよりも、周りの評価に引っ張られてしまう感じ。そんなとき、なんとなく胸の奥にざらっとした違和感が残るんですよね。健常とか発達とかの区分とは別に、そもそも人間でいること自体がけっこう不安定なんじゃないかと思わされます。 この本は、そのモヤモヤを一段深いところで言語化してくれます。たとえば、健常発達だからこそ「色、金、名誉」に縛られ、周りの”普通”に合わせ続けるしんどさがあるという視点は、読んでいて正直ドキッとしました。いじコミみたいな他人基準の世界で生きていると、自分の実感がいつのまにか薄まっていく感じがある。そこに対して、本書は「それは個人の弱さではなく、構造としてそうなっている」と静かに示してくれるところが救いでした。 もうひとつ刺さったのは、「記憶なく、欲望なく、理解なく」という態度の話です。相手をわかった気になった瞬間に、こちらの思考が止まってしまう。日常のコミュニケーションでも同じことが起きていて、相手を本当に見ようとする余白をどれだけ確保できるかで、人との距離の取り方が変わるんだと実感しました。 自分の対人感覚に違和感がある人、あるいは「健常側」であるはずなのにしんどさが抜けない人には、かなり深く刺さると思います。自分の立ち位置を責めるでも肯定するでもなく、ただもう少し丁寧に見直すための一冊でした。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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