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存在のすべてを

存在のすべてを

塩田 武士

朝日新聞出版 / 2023-09-07

累計読者数20
平均ハイライト数 20.3件/人
推定読了時間 約6時間16分
star総合評価 67/100
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この本について

仕事でも人間関係でも、一度走り出した道を「このままでいいんだろうか」と思いながら、引き返す理由も勇気も見つからないまま続けてしまうことってありますよね。私も同じで、積み重ねた時間を否定したくなくて、気づけば視野が狭くなっている瞬間があります。 『存在のすべてを』を読んで感じたのは、迷いの只中にいるときの“人間の揺れ”を、事件と芸術の世界を通して静かに照らしてくれる物語だということです。たとえば「立ち止まることが怖い」という心理が丁寧に描かれていたり、真理より地位に向かってしまう大人の弱さが容赦なく映し出されていたり、逆に犯罪の裏側にある意外なほどの愛情が見えたりする。どれも劇的な言葉ではなく、日常の延長にある感情として描かれているから、自分の生活や葛藤にそのまま重ねられるんです。 とくに、門田が取材の中で半歩ずつ前に進んでいく感じや、貴彦が芸術と生活の間で何度も揺れながら、自分の「正しさ」を探し続ける姿は、立場は違ってもどこか他人事に思えませんでした。何かを選ぶたびに「これでよかったのか」と自問する人ほど、刺さるものがあると思います。 今の自分の歩みが合っているか分からないまま、それでも前に進んでいる人に。派手な答えはなくても、心の奥のざわつきが少し整うような一冊でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。質感なき時代に「実」を見つめる者たち──圧巻の結末に心打たれる、『罪の声』に並び立つ新たなる代表作。
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