
サロメの断頭台
夕木春央
講談社 / 2024-03-14
累計読者数3
平均ハイライト数 1件/人
推定読了時間 約7時間7分
star総合評価 35/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 63%
この本について
人の作ったものをどう受け取ればいいのか、迷う瞬間ってありますよね。作品そのものを見たい気持ちもあるし、作者の背景を知ってしまうと無視できないこともある。どちらが正しいのか分からないまま、自分の感じ方に自信がなくなるあのモヤモヤ。あの抜粋を保存した人は、まさにその揺れに触れて反応したんだと思います。 『サロメの断頭台』は、その迷いを力づくで整理するタイプの本ではありません。むしろ「割り切れなくて当然」という前提から話が進むところが、読んでいてかなり救われます。作品と作者を完全に切り離すなんて無理だ、とあっさり言い切る一方で、それでも作品に向き合おうとする登場人物の姿が、現実の私たちの態度にそのまま重なるんです。作り手の痕跡をどう扱えばいいのか、感情と理屈のあいだで行ったり来たりする感じが、そのまま物語の軸になっています。 読んでいて特に効いたのは、作品への距離の取り方がひとつじゃないと示してくれるところです。作者を知ってもいいし、知らないままでもいいし、そのときの自分の状態で変わってしまってもいい。評価の正しさより、自分がどう揺れたのかを丁寧に拾い直す方が大事なんだと静かに教えてくれます。つい「正しい鑑賞」に答えを求めてしまう人には、かなりしみると思います。 創作物との向き合い方にいつも迷う人に、ゆっくり効いてくる一冊です。
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出版社による紹介
油絵画家の井口は、泥棒に転職した蓮野を連れて、数十年前に置時計を譲ってもらった、ロデウィック氏という発明家の富豪の元へ訪れる。 芸術に造詣の深いロデウィック氏は後日、井口の絵を見るために彼のアトリエに訪れるが、立てかけてあった絵を見て、「この絵とそっくりな作品を見た憶えがある」と気が付いてーー? 未発表の絵の謎を追って、井口と蓮野が大正時代を駆け回る! 『方舟』『十戒』で話題の夕木春央、最新作!
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