
心理臨床と政治 こころの科学増刊
信田 さよ子、東畑 開人
累計読者数3
平均ハイライト数 51.7件/人
star総合評価 55/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 16%
この本について
気になる出来事が起きたとき、「これは個人の問題なのか、それとも社会の問題なのか」が自分の中でごちゃっとすることがありませんか。とくに誰かのしんどさに向き合ったり、支える側に立つ仕事をしていると、その境界がぼやけてモヤモヤが積み上がっていく感じがあります。最近の僕もまさにそこで立ち止まっていました。 この本が面白いのは、心の問題を“内側”だけで見ようとする視点と、人と人の“あいだ”で起きている力の作用として見る視点を行き来させてくれるところです。家庭内の暴力を「加害‐被害」という権力の勾配として捉え直す話や、阪神・淡路大震災で心理士が自治会の信頼を得ないと活動できなかったエピソードなど、抽象論ではなく具体的な場面で「ケアにも権力が関わる」という事実を突きつけてきます。そして、それが臨床の可能性や共感の方向すら変えてしまうことに気づかされます。 僕自身、「個人を変えること」と「社会を変えること」がきれいに分かれるわけじゃないという感覚をずっと言語化できずにいたのですが、この本はその重なりをやさしく、でも逃げずに示してくれました。心の仕事をしている人だけでなく、誰かのケアに日常的に関わっている人に届くはずです。こんな人に刺さると思います。個人の問題として扱われる苦しさの背後に、もっと大きな力の流れを感じてしまう人。
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