
新装版 わたしが正義について語るなら (ポプラ新書)
やなせたかし
ポプラ社 / 2024-06-12
この本について
忙しく働いていると、「正しいと思ってやったことが、なんか空回りしてる気がする」とか、「自分の善意って自己満足なんじゃないか」とか、妙に胸がざわつく瞬間があります。正しさに向かおうとすると疲れるのに、向き合わないとそれはそれで落ち着かない。あのモヤモヤをどう扱えばいいのか、ずっと答えが見つかりませんでした。 やなせたかしさんの『わたしが正義について語るなら』は、そのモヤモヤに直接触れてくる本です。派手に飛び回るスーパーヒーローよりも、「目の前の餓えた人にパンを渡す」ほうがよほど正義なんだという視点。悪は分かりやすい顔をして現れないし、良かれと思った行動が裏目に出ることもあるという現実。そして、正義を行うときは、自分も傷つくし感謝されないことが多いという、耳が痛いけれど確かにそうだよなと思える感覚。どれも大きな理想論じゃなくて、日々の生活の中で何度も思い当たる場面ばかりです。 読みながら、正しさの基準を外側に求めるのではなく、自分の足元でできることに引き戻される感覚がありました。誰かを助けるとか、大きな善行を積むとかじゃなくて、「うっかり入り込んでしまうばい菌」に気づけるかどうかとか、小さな選択を丁寧に扱うことの方がよっぽど大事なのかもしれません。ヒーローにならなくていいし、むしろならないほうがいい、という著者の言葉は、肩の力をふっと抜いてくれます。 「頑張りたい気持ちはあるのに、正義とか善意ってそんな立派に語れない」と感じる人にこそ、静かに届く本です。
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