
平和と愚かさ
東浩紀
太田出版 / 2025-12-18
この本について
日々ニュースを見ていて、「平和って結局なにを指しているんだろう」「正しさをめぐる議論にどう向き合えばいいんだろう」と、うまく言語化できないモヤモヤを抱えることが増えました。戦争という極端な状況だけでなく、ふだんの生活の中でも、誰かを敵か味方かで分けようとする空気に巻き込まれてしまう感じがある。そんなときに東浩紀さんの『平和と愚かさ』を読むと、一度立ち止まる余白をもらえます。 この本が効くのは、まず「平和とは考えないことが許される状態」という視点です。武力衝突の有無ではなく、頭の中に“考えなくてもいい領域”があるかどうか。読んでいると、自分がどんな前提の上に「平和だ」と感じていたのかが少しずつ見えてきます。もうひとつは、加害と被害、正義と悪の単純化を疑う姿勢です。どちらの側に立つかを急がされる場面でも、そこで排除される声や痛みに目を向けるとはどういうことかを、具体的な歴史や事例を通して考えさせられます。そして、人間を数字や記号にしてしまう暴力の怖さを扱う章では、「なぜ人は愚かさに向かってしまうのか」という自分自身にも返ってくる問いが避けられません。 派手な答えが書かれているわけではないけれど、「考えることをあきらめないための足場」をそっと差し出してくれる本です。正しさの議論に疲れた人、あるいは自分の感じている不安の正体をうまくつかめないままの人に、静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
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