
占領神話の崩壊 (中公文庫)
西鋭夫 and 岡﨑匡史
累計読者数3
平均ハイライト数 17.3件/人
star総合評価 51/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 29%
この本について
戦後の日本について考えるたびに、「どうしてここまで“自分で決められない国”になったんだろう」と、どこか説明しきれないモヤモヤが残ることがあります。学校で習った歴史ではつながらない部分が多くて、今の日本の立ち位置も腑に落ちないまま。それでも、どこから手をつければいいのか分からない……そんな感覚を持っている人は少なくないと思います。 『占領神話の崩壊』は、そのモヤモヤに輪郭を与えてくれる本でした。特に刺さるのは、当時の日本政府の動きや、公文書が破棄されていく場面が具体的に描かれているところです。占領下の改革がどれだけ急で、誰が何を判断し、どんな思惑で動いていたのかが、淡々と事実で語られていく。たとえば憲法草案がどの順番で誰の手に渡ったのか、といった細部の描写は、歴史が「いつの間にか変えられた出来事」ではなく、当時の人の判断の積み重ねだったと実感させてくれます。また、阿片や大麻に関わる記述を通して、日本や中国が抱えていた現実の生々しさに触れると、戦後の価値観がどれほど占領政策に左右されているかが見えてきます。 この本は、「戦後の日本がどう形作られたのかを、もう少し自分の頭で整理したい」という人に刺さります。大きな結論を押しつけるタイプではなく、読みながら自分の中にあった穴が少しずつ埋まっていくような感覚に近いです。自分の立ち位置を問い直したいときに手に取ると、静かな刺激をもらえる一冊でした。
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出版社による紹介
日本の敗戦前後、あまたの公文書が焼却されたと言われている。しかし、決裁文書などを除く多くが「私文書」として個人の手許に残されていた。これらの資料を、占領期に積極的に収集したのが、フーヴァー研究所東京オフィスであった。 フーヴァー研究所は、スタンフォード大学の第一期卒業生であった第31代米国大統領ハーバート・フーヴァーが1919年に設立した研究機関。戦後、フーヴァー自身、占領下の日本、ドイツに赴き、占領政策にコミットした。その一環として、資料収集計画があった。 駿河台の東京オフィスを拠点に、1945年11月から1951年3月まで、書籍・専門書・新聞などを含む1468箱が海路米国に持ち出された。これらの資料には、「GHQ直筆・日本国憲法の原文」「東京裁判の宣誓供述書」「関東軍特務機関の阿片政策」「日本共産党員の獄中手記」「特高警察の極秘史料」などの一次史料が多数含まれ、「フーヴァー・トレジャーズ」(Hoover Treasures)と呼ばれることになった。 本書は、こうして形成された「フーヴァー・トレジャーズ」から占領秘史にせまろうとするものである。そこで浮かび上がるのは、日本国憲法制定をめぐるGHQと吉田茂の取り引き、東京裁判における天皇免訴をめぐる暗闘、満洲国の財政を支えた阿片政策とそれを担った三菱・三井、日本国内での阿片栽培......などの新事実である。 戦後に改竄された「歴史の欺瞞」を炙り出す試みであり、『國破れてマッカーサー』の続編、発展版とも言える著作である。
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