
この本について
仕事でも日常でも、何かを「理解しきれないまま扱っている感覚」ってありませんか。自分の中にあるはずの思考の基盤も、いつの間にか誰かから預かっただけのようで、どこまでが自分なのか曖昧になる瞬間があると思うんです。円城塔『土人形と動死体』を読んでいると、その曖昧さがむしろ前提として扱われ、そこから物語が立ち上がっていくのが不思議に心に刺さりました。 抜粋にもあるように、この本の登場人物たちは、自分の魂がどこまで自分のものなのか、あるいは最初からそんな境界は存在しないのかという地点から平然と話を進めていきます。夢なのか現実なのか判別できない空気の中で、「観測する者の立ち位置」がどれだけ世界の形そのものを変えてしまうかが、寓話めいた形で描かれる。その感じが、普段の仕事で“正しい図面が欲しいのに、そもそも図面が存在しない”みたいな状況に向き合うときの気持ちとどこか似ていました。 何かを成し遂げるわけでもなく、ただ観察し続けるしかないスタンの姿も、焦りながら手を動かす自分と重なります。自分のペースでしか掴めないことがあるし、周囲から見たら奇妙でも、自分の視点の積み重ねが確かに世界を形づくっていく。そう思えるだけで、少し呼吸が楽になりました。 世界の境界や自分の思考の輪郭がぼやけて見える人にこそ刺さる一冊です。
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
無料ではじめる
クレジットカード不要







