
悪の教典(下) (文春文庫)
貴志 祐介
文藝春秋 / 2012-08-10
累計読者数4
平均ハイライト数 33.5件/人
推定読了時間 約5時間5分
star総合評価 78/100
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この本について
日常の中で、人の「本当の顔」をどこまで信じていいのか分からなくなる瞬間ってありませんか。職場でも学校でも、建前と本音のあいだにある齟齬を感じながら、相手の意図を読み違えるのがいちばん怖い。そんな不安を抱えたまま過ごしていると、自分の判断すら揺らいできます。 『悪の教典(下)』は、その揺らぎを極端な形で突きつけてきます。読者が保存していた抜粋を見ていると、「人はここまで自分の都合のいい理屈に逃げ込めるのか」という点に強く反応しているように思いました。頭の中に響く命令だとか、誰かのせいにしていく過程だとか、そういう“歪んだ自己正当化”が追体験できてしまう。そして、緊迫した状況での判断ミスや、ちょっとした情報の食い違いが命取りになっていく描写は、日常のコミュニケーションにもそのまま置き換えられる感覚があります。 もうひとつ、この作品が効いてくるのは、「人の行動には必ずしも合理性がない」という諦観に近い視点を持てることです。アーチェリーの装備ひとつで脅威になり得るとか、木の葉は森に隠せという考え方とか、細かい判断の積み重ねが状況を決めていく。極端な物語ではあるのに、現実での危機管理や人間関係の読み方にも、不思議と転用できてしまうところがあるんですよね。 人間の「思い込み」や「都合の良い物語」を直視したい人には、とても刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。しかし彼は、邪魔者は躊躇なく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。学校という性善説に基づくシステムにサイコパスが紛れこんだとき──。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。
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