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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

カズオ・イシグロ and 土屋 政雄

早川書房 / 2006-04-01

累計読者数29
平均ハイライト数 13.3件/人
推定読了時間 約4時間29分
star総合評価 61/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 40%

この本について

最近、「やりたいことはあるのに、いつの間にか時間だけが過ぎていく」とか、「もう遅いんじゃないか」とふと不安になる瞬間が増えた気がします。頭ではまだ間に合うと言い聞かせながら、心のどこかでは、取り返せないものが積もっていく感覚が拭えない。そんなときに思い出すのが『わたしを離さないで』でした。 この物語の中では、登場人物たちが自分の役割や未来を知りつつも、小さな希望やつながりに手を伸ばしていきます。特に、もう戻れないとわかっていても「もしあのときこうしていれば」と考えてしまう場面や、言えなかったひと言の重さに気づく瞬間が、読者の方が保存していた抜粋からも強くにじんでいました。自分ではどうにもできない状況の中で、それでも好きな人のために何かしようとする姿や、秘密めいた場所に逃げ込んで呼吸を整える感覚は、日常の中でふと感じる弱さと近い気がします。 この本が効いてくるのは、取り返しのつかないものとどう折り合いをつけるかを、極端な設定を通じて静かに考えさせてくれるところです。何かをなくしたときに「いつか見つかる場所」を信じる気持ちとか、相手のために何かを想像し続ける優しさとか、そういう小さな行動の積み重ねこそが、人生の手触りをつくっているんだと気づかされます。 「もう手遅れかもしれない」と感じやすい人に、特にじんわり刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度......。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。解説:柴田元幸
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