
世界から猫が消えたなら
川村元気
この本について
忙しさに流されて、気付けば大事なことほど後回しになっている。親に電話しようと思って何年も経っていたり、近くにいるはずなのに誰ともつながれていない気がしたり。そんな自分にうっすら罪悪感を抱えながらも、見ないふりをして日々を回してしまうことってありますよね。僕もまさにそのタイプで、ただ生きているだけなのに「何か大事なものを置き忘れてきた気がする」日がよくあります。 『世界から猫が消えたなら』を読んで感じたのは、その置き忘れてきたものの正体に、やさしく光を当ててくれる物語だということでした。読者の方が保存していた抜粋を見ると、刺さっているのは派手な展開ではなく、「失って初めて気付くもの」や「想いをためる時間の価値」「家族とのすれ違い」みたいな、日常のひだに潜んでいる感情なんですよね。便利になったはずの世界で、僕らがどれだけ大事な時間を手放してきたのか。それに気づいたときの、少し胸が痛むような、でも確かに前へ進めそうな感覚。この本は、そこをじっくり拾い上げてくれます。 特に効いたのは、すぐ連絡が取れるようになったことで失われた「相手を想う時間」という視点。あと、家族が“ある”ものではなく“する”ものだという一文は、僕自身の後回しにしてきた関係を思い出させました。そして、終わりがあるからこそ輝く時間の儚さに触れたとき、過去の思い出が少し違う形で胸に返ってきます。 「大事な人との距離の測り方に迷っている人」に、静かに効く物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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