
新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)
下村隆一 and トーベ・ヤンソン
講談社 / 2011-04-15
この本について
仕事でも日常でも、先のことばかり考えて落ち着かなくなるときってありますよね。地図や計画を用意しても、不安はなぜか消えない。そんなときに限って、「結局どっちへ進めばいいんだろう」と足が止まってしまうことがあります。 『ムーミン谷の彗星』を読み返していて感じたのは、悩んで立ち止まる瞬間に寄り添ってくれるのは、必ずしも正しい答えではなく、スナフキンみたいな視点の軽さなんだということです。磁石より本能を信じて歩くとか、ものを持ち帰らず頭の中へしまうだけにするとか、一見ゆるいようでいて、余計な荷物を背負っているときほど効いてくる。読者が抜粋に保存している場面も、そんな “力を抜く方向” に視点を戻してくれる言葉ばかりなんですよね。 さらに、この物語のいいところは、冒険の途中に何度も「まあまあ、おちつけよ」とか「きみは、彗星がこわいかい」と声を掛け合う空気感があること。恐ろしい彗星が迫っているのに、彼らはどこかで自分たちのペースを取り戻していく。全員が完璧じゃなくて、気まずくなったり、言い合ったり、落ち込んだりしながら進んでいく。その感じが、焦りの中にいる自分をちょっと笑わせてくれるんです。 迷っている途中の人、急がなきゃと思うほど動けなくなるタイプの人には、特に刺さると思います。現実の問題を直接解決してくれるわけではないけれど、心のスピードをほんの少し落としてくれる。そんな読後感のある一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの53%が集中しています。
読書の順序
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