
二重洗脳―依存症の謎を解く
磯村 毅
東洋経済新報社 / 2009-10
この本について
最近、物事がうまく回らないときに「自分の弱さのせいなんじゃないか」とか、「ちゃんとできていない気がする」とか、理由の分からないモヤモヤが急に濃くなる瞬間ってありませんか。頑張ろうとすると逆に視野が狭くなって、気づけば同じところをぐるぐる回っているような感覚になる。僕自身、そういうときほど“努力の方向”を間違えていることに後から気づくことが多いです。 『二重洗脳』は、そのぐるぐるの正体を静かにほどいてくれる本でした。とくに刺さったのは、人間にはもともと「変化を嫌う性質」があるという話。変わりたいのに変われない自分を責めていたけれど、それは弱さではなく、ごく自然な反応なんだと分かるだけで、肩の力が抜けました。さらに、恋愛や甘いもの、依存行動などを例にしながら、「急性の気持ちよさに目を奪われ、慢性的な影響を見落とす」という人間のクセを的確に示してくれる。自分の判断が曇る瞬間の仕組みを知ると、行動を変えるときに無駄な力がいらなくなる感じがしました。 もうひとつ大きかったのは、「問題に集中しすぎると、逆に全体像が見えなくなる」という指摘です。焦って答えを追いにいくほど、認知がゆがんでいく。これは依存だけの話じゃなくて、仕事や人間関係での行き詰まりにもそのまま当てはまる視点でした。“自分の認識がずれている可能性”を受け入れるだけで、少しだけ自由になれる気がします。 過度に励ましてくるタイプの本とは違って、人間の限界や矛盾もきちんと扱ってくれるので、「強くなろう」と力むよりも、まず落ち着いて自分を見直したい人に向いています。とくに、自分を責めやすいまじめなタイプの人ほど、ひと呼吸できる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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