
こころの旅
神谷 美恵子
この本について
最近、年齢や環境の変化に合わせて、自分のこころの揺れ方が昔とは違うな…と感じることが増えました。家族との距離感、仕事の停滞感、ふとしたときに押し寄せる「このままでいいのか」という不安。大ごとではないのに、胸の奥に小さく残り続けるあの感じです。そんなときに読み返したのが、神谷美恵子『こころの旅』でした。 この本は、派手な答えをくれるタイプではないのですが、抜粋にあるような「夫婦という他人同士が互いの弱さに気づきながら続けていく営み」とか、「人生の途中での寄り道や停滞が、じつは後半戦の糧になる」という視点が、じわっと効いてきます。とくに、壮年期の不安を“老いそのものより、予期不安のほうがしんどい”と書くあたりは、妙に実感に近いんですよね。状況に振り回されているつもりでも、見方が少し変わるだけで、自分の立っている場所が別の意味を持ち始める。そんな体験を自然に促してくれます。 また、この本の魅力は、弱さを前提にしながらも、そこからどう生き直していけるかを淡々と示しているところです。家族に支えられたことで回復していく患者の姿や、苦しい時期を過ごした青年が後の人生でそれを“肥やし”にしていく描写は、過去の失敗や停滞に対して「もう少し柔らかく接していいのかも」と思わせてくれます。成長しよう、とか前向きになろう、とかではなく、人のこころがゆっくり変わっていく過程そのものを受けとめてくれる本です。 自分のペースで人生を組み直したい人に、とくに静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの42%が集中しています。
読書の順序
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