
黒い雨(新潮文庫)
井伏 鱒二
新潮社 / 1970-06-29
累計読者数3
平均ハイライト数 2.7件/人
推定読了時間 約3時間53分
star総合評価 47/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 83%
この本について
最近、何が正しいのか分からなくなる瞬間が前より増えた気がします。職場でもネットでも、強い意見が飛び交う中で、自分の判断が本当に自分のものなのか不安になるというか。見たくない現実から、つい目をそらしてしまう自分にも気づいてしまいます。 井伏鱒二『黒い雨』は、そうした迷いに直接答えてくれる本ではありません。ただ、判断力が揺らぐ状況に置かれた人間の姿を、淡々と、逃げずに描いてくれます。読者の方が残していた「戦争は人間の判断力を麻痺させる」という一文や、青空にクラゲ雲が浮かぶような感覚の描写は、極限状態で“正しさ”がいかに脆いかを突きつけてきます。正義よりも平和を選びたいと願う声には、答えを出しきれない人間の正直さがあり、そこに救われる人もいると思います。 この本は、過去を学ぶためというより、自分が何かを判断できなくなった時に、どこまで現実と向き合えるかを静かに問い返してくれる一冊です。特に、「見たくないものを前にしたとき、自分はどう振る舞うか」を考えたい人には刺さると思います。
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出版社による紹介
一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。原爆の広島――罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、“黒い雨”にうたれただけで原爆病に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。被爆という世紀の体験を、日常の暮らしの中に文学として定着させた記念碑的名作。野間文芸賞受賞。
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