
苦海浄土 わが水俣病 (講談社文庫)
石牟礼道子
講談社 / 1972-12-15
累計読者数8
平均ハイライト数 12件/人
推定読了時間 約4時間4分
star総合評価 56/100
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この本について
仕事でも日常でも、目の前の理不尽を見過ごしてしまう瞬間ってありますよね。関わるのが怖かったり、自分ひとりが声をあげても何も変わらない気がしたり。そのたびに「正しさ」と「現実」のあいだで揺れてしまう。僕自身、その感覚から抜け出せずに長く漂っていました。 『苦海浄土』を読むと、その迷いが少し別の角度から動きます。まず、加害と被害の構図が歴史的な出来事ではなく、生身の言葉として迫ってくるんです。「ゆりの匂い」や「魚を握りしめて食うたばい」という細部が、教科書では拾いきれない“誰かの人生の中で起こったこと”として立ち上がる。さらに、権力と無権力の対面にいる人びとの戸惑いや沈黙が、いまの私たちが抱えている無力感とどこか地続きだと気づかされる。最後に、記録するという行為が、ただの事実の保存ではなく、亡くなった人や声を奪われた人に“場所を返す”ことなのだと静かに思い知らされます。 派手なカタルシスはありませんが、人の痛みにどう向き合いたいかを考え続けている人には深く刺さる一冊です。読後すぐに行動が変わるというより、ものを見る角度がゆっくり変わっていく本です。
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出版社による紹介
公害という名の恐るべき犯罪、“人間が人間に加えた汚辱”、水俣病。昭和28年一号患者発生来十余年、水俣に育った著者が患者と添寝せんばかりに水俣言葉で、その叫びを、悲しみ怒りを自らの痛みとし書き綴った《わがうちなる水俣病》。凄惨な異相の中に極限状況を超えて光芒を放つ人間の美しさがきらめく。
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