
マルクス 資本論 シリーズ世界の思想 (角川選書)
佐々木 隆治
この本について
働いていて、ときどき「自分の時間や労力って、いったい何と交換されてるんだろう」と不意に立ち止まることがあります。忙しさに流されていると、社会の仕組みそのものを考える余裕なんてないのですが、どこか釈然としない感覚だけは残るんですよね。僕もそのモヤモヤを放置したまま仕事を続けていて、ふとした瞬間に疲れがどっと出ることがありました。 佐々木隆治さんの『マルクス 資本論』は、そんな引っかかりを“いま自分が立っている地面”から説明してくれる本でした。たとえば、私たちが普通に使っている「価格」や「価値」がどんな歴史的な条件で成り立っているのかを丁寧にほどいてくれるので、普段は空気のように思っていた市場や働き方が、実は固有のしくみによって成立しているだけなんだとわかります。また、労働がどのように商品に吸い込まれていくのか、その過程で起きる“ズレ”を見せてくれるので、自分が感じていた違和感の正体が少し輪郭を持ちはじめます。さらに、マルクス自身が思索を深める中で前近代的な共同体に肯定的な視点を持つようになった流れも紹介されていて、「進歩=正しい」と思い込んできた価値観を一度外側から見直すきっかけにもなりました。 特に、働く理由やお金との距離感を改めて考えたい人にはしっくりくると思います。大げさに世界を変えようという話ではなく、いま自分が当たり前だと思っている枠組みがどう作られたのかを静かに教えてくれる一冊でした。
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