
絶望名人カフカの人生論
フランツ・カフカ and 頭木弘樹
飛鳥新社 / 2014-11-01
この本について
気持ちが沈んでいるときって、「前向きにならなきゃ」とわかっていても、そもそも動けるほど元気がないことが多いですよね。昔の失敗がどうしても頭から離れなかったり、責任の重さに押しつぶされそうになって、何もしていない自分をまた責めてしまったり。自分にばかり意識が向いてしまい、かえって身動きが取れなくなるあの感じ、すごくよくわかります。 『絶望名人カフカの人生論』は、そんな状態に対して「励まし」ではなく「理解」を差し出してくる本です。たとえば「かつて泳げなかった記憶が邪魔をして、今は泳げるのに泳げない」という一節。過去の自分に足を引っ張られる感覚そのままで、読んでいて妙に納得させられます。また、「責任の重さに潰れたことにして逃げようとしても、結局その責任は自分そのもの」という指摘も、耳は痛いけれど、逃げ場がないと感じているときの心の動きを正確に描いていて、どこか落ち着くんです。そして何より、勝ち負けではなく「手にしているものをどう生かすか」という視点は、焦りがちの心を少し緩めてくれます。 読んでいて思うのは、カフカの弱さは決して特別ではなく、自分の中にある弱さと地続きだということです。暗い言葉が並んでいるようでいて、不思議と「ひとりで抱え込んでいいんだ」と許してもらえるような感覚がある。前に進むための力というより、立ち止まって息をするための余白をくれる本だと思います。 自分のペースでしか生きられない人に、静かに刺さる一冊です。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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