
山椒魚(新潮文庫)
井伏 鱒二
累計読者数4
平均ハイライト数 3.8件/人
推定読了時間 約10時間2分
star総合評価 24/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%
この本について
最近、気づいたら自分の世界がいつのまにか狭くなっていた……そんな感覚におちいることがありませんか。外に出たい気持ちはあるのに、気づけば同じ場所で同じことを考えてばかり。「自分で勝手に自分を閉じ込めてるだけじゃないか」と頭では分かっても、そこから動けないまま時間だけが経っていく。ぼく自身、こういう行き詰まりに何度もハマります。 井伏鱒二の『山椒魚』を読むと、その窮屈さがちょっと別の角度から見えてきます。出口につかえて外に出られなくなった山椒魚が、外の光をのぞき見するだけの日々を送り、相手を嘲笑しながらも孤独に震えてしまう。その姿は極端なのに、妙に日常の自分と重なる瞬間があります。とくに、相手を自分と同じ状態に引きずり込みたくなる弱さや、ふとした瞬間に押し寄せる「寒いほど独りぼっちだ」という感情には、どこか身覚えがある人もいるはずです。 この物語が効いてくるのは、自分の「岩屋」が何なのかを静かに考えられるところです。行動しろとか前向きになれとは一言も言われないのに、山椒魚の閉塞感をたどっていくうちに、同じ景色を見続けている理由が少しだけ言語化される。誰かに責められることなく、自分の癖や感情の動きをそっと拾い直せる作品です。 じわじわ効くタイプの本なので、世界が狭い気がして息苦しい人にとくに刺さると思います。
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出版社による紹介
赤道直下の島の入江には黒々とした不思議な生物が棲んでいた。現地では山椒魚に似た姿から、魔物と怖れられていたかれらだったが、じつは高い知能をそなえていたのだ。自然の中で生きる無垢な山椒魚が現代文明と出会ったとき、その内面に生じた重大な変化とは?チェコが生んだ偉大な文学者カレル・チャペックが、人間社会と山椒魚の出会いを通じて人類の本質的な愚かさを鋭く描き、現代SFの礎となった名作。改訳決定版。
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