
真夜中乙女戦争 (角川文庫)
F
KADOKAWA / 2021-11-20
この本について
人と話していて、気づいたら自分の本音がどこにも見つからないときがあります。楽しいとも言い切れないし、つらいとも違う。二択で説明できない気持ちのまま、なんとなく毎日を続けてしまう。そんな曖昧なところにこそ、自分の本当が隠れているんじゃないかと思うのに、言葉にできないまま流れていく感じがあります。 『真夜中乙女戦争』は、その“間”にある気持ちを丁寧に拾ってくれる小説でした。喜怒哀楽のどれにも分類できない感情を百段階で描くような文章が多くて、説明しにくい自分の気持ちが「これだ」と思える瞬間がいくつもあります。例えば、人間関係がうまくいかない理由を性格とか努力の不足で片付けず、「不在の相性」という視点を与えてくれることで、無理に自分を責めなくていい余白が生まれます。また、“幸せになれない理由”を大げさな精神論で語らず、ただ「今の自分を呪い続けてしまうから」と冷静に示してくれる。その温度感が変に背中を押さず、でもじわっと視界が変わるんですよね。 大きい決断や華々しい行動を求める話ではなく、ラーメンの湯気の立ちのぼりを幸せと言い切るような、小さな瞬間をどう扱うかがテーマになっている気がします。うまく生きようとして疲れた人よりも、「このままじゃない気がするけど、何を変えればいいかは分からない」という人に刺さるタイプの物語です。 迷っている自分をごまかさずに読みたいとき、そっと手元に置いておける一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
読書の順序
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