
物語 チェコの歴史 森と高原と古城の国 (中公新書)
薩摩秀登
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推定読了時間 約5時間20分
star総合評価 75/100
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この本について
歴史の本を読むとき、「昔の国と今の国をそのまま重ねていいのか?」みたいなモヤモヤが出てきませんか。チェコについても、プラハの街並みは知っているのに、その裏でどんな人たちが動き、どんな力関係が揺れていたのかを説明しようとすると一気に言葉が詰まってしまう。自分もまさにそのタイプでした。 この本の面白さは、中世から現代までを一本の線にせず、時代ごとにぜんぜん別の論理が働いていたことを、人物や街の空気を通して自然に理解させてくれるところにあります。例えば、若い総督フェルディナントが貴族や市民を巻き込みながら文化サークルの中心になっていく話は、政治史の流れの中に「そんな出会い方があるのか」と視点を追加してくれますし、ドイツ人実業家が博覧会を拒否した結果、チェコ人だけで準備を進めていくくだりは、民族意識が育つ瞬間の温度がそのまま伝わってきます。さらに、プラハが一時は「一王国の首都にすぎなかった」という描写からは、都市の位置づけが時代でこんなに変わるのか、と歴史の立体感がつかめます。 観光で見えるチェコと、歴史の中で積み重なったチェコを、無理に一本化せずに眺めたい人には特に刺さる一冊だと思います。自分の中の「ヨーロッパ史はつながりが多すぎて混乱する」という苦手意識が、少しだけ整理されました。
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出版社による紹介
九世紀のモラヴィア王国の誕生以来、歴史に名を現わすチェコ。栄華を誇った中世のチェコ王国は、そののち、ハプスブルク家に引き継がれ、さらに豊かな文化を生み出した。二十世紀に至って、近代的な共和国として生まれ変わったのち、第二次世界大戦後の共産化によって沈滞の時代を迎えるが、ビロード革命で再出発した。ロマンティックな景観の背後に刻印された歴史を、各時代を象徴する人物のエピソードを核に叙述する。
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