
戦後「社会科学」の思想 NHKブックス
森 政稔
累計読者数6
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star総合評価 53/100
start序盤集中型
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この本について
最近、自分の立っている場所が時代のどのあたりにあるのか、ふと分からなくなることがあります。政治の対立軸も、経済の価値観も、気づけば言葉だけが先行していて、その背景にある歴史的な流れを追えていないような感覚です。何かモヤモヤするけれど、教科書的な整理だけでは腑に落ちない。そんなときにこの本を読んでみたら、ようやく地図の輪郭が見えてきました。 刺さったのは、戦後日本の思想が「勝者・敗者」みたいな単純な構図では語れず、冷戦や高度成長、教育問題、新自由主義の波といった複数の流れの中で形づくられていった、という視点です。たとえばハイエクが警戒した「社会が組織に近づくと自由が失われる」という議論が、ファシズムだけでなく行政拡大の問題ともつながっていたり、ユートピアをどう位置づけるかで思想家たちがどんな葛藤を抱えていたのかが丁寧に追われていたりします。過去の議論を知ることで、いまの論争が少し別の角度から見える感覚がありました。 また、学問そのものがどう変化してきたのかにも触れられていて、ロールズ以降だけに目が向きがちな自分の視野の狭さにも気づかされます。日本がどこで道を選び、どこで迷い、何を引きずってきたのか。その流れをたどることで、いまの社会に対して抱く違和感の“正体”に少し手が届く気がしました。 思想の地盤をもう一度確かめたい人に、静かに効く一冊です。
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