
純米酒を極める (光文社知恵の森文庫)
上原 浩
この本について
日本酒って好きなんだけど、結局どこをどう味わえばいいのか分からないまま飲んでしまうこと、ありませんか。銘柄の違いも、醸造の言葉も、なんとなく知っているだけで、自分の中でつながらないまま終わる。僕自身、ずっとそんな状態で、店で説明を聞いても翌日には忘れてしまうタイプでした。 『純米酒を極める』は、そのモヤモヤをほどくのにちょうどよかった本でした。特に印象的なのは、蔵や杜氏の名前がただの情報としてではなく、「なぜその酒がこういう味になるのか」という背景とセットで語られているところです。山廃や生酛がどう効くのか、精米歩合がなぜ蔵の哲学につながるのか、読むほどに「味の裏側の手触り」が出てくる感じがあります。たとえば大七や三井の寿、鷹勇、開運といった蔵の姿勢が具体的に描かれていて、次に飲むときは自然と注目するポイントが変わりました。 もう一つ良かったのは、派手な評価軸に寄らず、著者が長年の経験から「本当に良いと思う理由」を淡々と語っているところです。香りを補強するためにあえてアル添する蔵がある、といった技術的な話も、蔵の判断として腑に落ちるように説明されるので、ただの知識ではなく飲むときの視点に変わっていきます。強力や亀の尾の復活など、米づくりにまつわる話も、「一杯の酒の奥に人の仕事がある」という当たり前の感覚を思い出させてくれました。 日本酒をもっと深く味わいたいけれど、専門書は重たすぎると感じている人にはちょうどいい距離感の本だと思います。飲むたびに「今日はどこを感じてみようか」と自然に考えるようになり、日常の一杯が少しだけ豊かになります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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