
割合で覚える和の基本
村田 吉弘
この本について
料理本を読むたびに「結局、調味料の差なんだよな」と思いつつ、実際の台所ではなんとなく家にあるもので済ませてしまうこと、ありませんか。私もずっとそうで、煮魚がぼんやりした味になるたびに、レシピ以前のどこか根本が抜けている気がしていました。味つけを足したり引いたりしても決まらないあの感じ、原因はもっと基本のところにあったんだなと、この本でようやく腑に落ちました。 特に刺さったのは、酒やみりんが「ただの調味料」じゃなく、それぞれに明確な役割を持っているという視点です。酒がにおい消しであり、素材を柔らかくし、米由来のうまみを加える“だし”でもあること。本みりんが甘みと照りを生むだけでなく、たんぱく質を締めて煮崩れを防ぐ働きを持つこと。そして、みりん風ではその働きが再現できないから、同じ割合で作っても狙った味にならないこと。こういう「台所で何が起きているか」を教えてくれるので、レシピを追うだけじゃ味が決まらなかった理由が自然と理解できます。 また、魚を煮るときはだしではなく酒と水で合わせ地を作る、といった具体的な置き換えも、やってみると味がすっと通るんですよね。霜降りや落としぶたの扱いも、細かいけれど仕上がりが変わる部分で、「面倒だから省く」と「理由を知った上でやる」は全然違うなと感じました。 レシピ迷子よりも、「ちゃんと作りたいのに、根本の原理がわからないまま大人になってしまった」というタイプの人にこそ刺さる本だと思います。料理の腕前というより、台所での判断力を静かに底上げしてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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