
神曲 煉獄篇 (河出文庫)
ダンテ・アリギエーリ and 平川祐弘
河出書房新社 / 2009-01-07
この本について
日々まじめに働いていても、気づけば「自分は何を目指していたんだっけ」と立ち止まってしまうことがあります。頑張りたい気持ちはあるのに、ちょっとした風にあおられて迷ってしまう。理屈ではわかっていても、心が追いつかないまま時間だけ進んでいく。そんな時期に読むダンテの『神曲 煉獄篇』は、物語という形を借りて、自分の心の歩幅をそっと整えてくれる感じがします。 この本が面白いのは、煉獄を「罰」ではなく、人が再びまっすぐ歩けるようになるための“回復のプロセス”として描いているところです。迷うたび立ち止まるダンテに、ウェルギリウスが「風が吹こうがびくとも動ぜぬ塔のように」と声をかける場面や、ベアトリーチェに子どものように叱られる場面は、精神論ではなく“具体的な揺れ”に寄り添ってくれる。何かをしでかしたわけじゃなく、何もしなかったせいで機会を逃した、という嘆きも出てきて、思い当たる人は多いと思います。また、魂が一つのことに強く惹かれると時間さえ忘れる、という描写は、集中が戻らない自分を責めすぎなくていいという視点にもつながりました。 さらに、登場人物たちがダンテに「祈りを届けてほしい」と語る姿は、人は一人で立て直せるわけではなく、関係の中で少しずつ軽くなっていくものだと示してくれます。迷っている自分を“直そう”とするより、“何が重いのか”を一緒に見ていく読み方が合う本です。 特に、頑張りたい気持ちは残っているのに、足が進まない理由が言葉にできない人には刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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