
アイの物語 (角川文庫)
山本 弘
この本について
人と話していて、「結局この人は“私の言葉”じゃなくて、“自分の中の私のイメージ”に向かって喋ってるんだよな…」と感じること、ありませんか。こちらも相手も悪気はないのに、すれ違いだけが積み上がっていくあの感じ。理解したいのに理解しきれない、人間ってなんでこんなに不器用なんだろう、と思う夜が僕にもあります。 『アイの物語』を読んでいて刺さるのは、まさにその「理解の難しさ」を、ヒトではない存在の目を通して描いているところでした。読者が保存していた抜粋にあるように、AIであるアイが星を眺め続けたり、ヒトの議論の不器用さに戸惑ったり、小説というメディアを選ぶ理由を丁寧に語ったりするシーンは、“分からないものを分かろうとする行為そのもの”の尊さを静かに照らしてくれます。自分も普段、人の言葉の裏側にある感情を読み違えてばかりですが、アイの視点に触れると「そもそも完璧に分かり合える前提が間違ってたのかもしれない」と肩の力が少し抜けるんです。 もう一つ、この本が効いてくるのは、“物語”の意味を見直せるところです。事実かどうかに縛られず、物語が感情や行動を理解するための装置として働くという視点は、忙しい日々の中でつい忘れてしまう大事な感覚を思い出させてくれます。仕事でも家でも、人の意図を読み違えて自己嫌悪に陥るタイプの人ほど、この視点は救いになるはずです。 こんな人に刺さると思います。分かりたいし伝えたいのに、いつも少しだけズレてしまうと感じている人。そんな人にとって『アイの物語』は、静かだけれど深く効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの94%が集中しています。
読書の順序
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