
時の果てのフェブラリー
山本 弘
アドレナライズ / 2015-05-11
この本について
日々のタスクに追われていると、気づけば「感じる余白」みたいなものがどんどん薄くなっていく瞬間があります。何か大事なものを置き去りにしている気はするけれど、じゃあ何を取り戻したいのか自分でも言葉にできない。そういうモヤモヤを抱えているときに、ふと読み返したのが『時の果てのフェブラリー』でした。 この作品は、いわゆる技術的に“巧い”物語というより、感覚を揺らす情景描写が強く深く響くタイプの小説です。抜粋にもあるように、ひょろ長い四肢や渦巻く髪、床を這う霧の冷たさ——ただの風景なのに、どれも人間のかすかな弱さや孤独を抱き込んでいる。読む側のこちらも、不思議と自分の内側にある静かな部分を引き出されます。そして「愛はチョムスキー文法よりずっと深いところにある」という一文のように、説明できないものを説明しようとしない潔さが、この物語の芯になっている気がします。 特に効いたのは、言葉がうまく届かない関係のなかでも、人はそれでも誰かを想そうとする姿を丁寧に描いているところです。大げさな結論に走らず、ただ「そこに確かに在るもの」を淡く照らすような描き方をしてくれるので、読み終わったあと、自分の人間関係にも少しだけ違う角度から触れられるようになります。静かな場面ばかりなのに、どこか現実の感覚をリセットしてくれるような読後感もあります。 言葉にしづらい気持ちを抱えたまま、それでも誰かとつながりたいと思っている人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの83%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本の後に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要








