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時の果てのフェブラリー

時の果てのフェブラリー

山本 弘

アドレナライズ / 2015-05-11

累計読者数3
平均ハイライト数 6件/人
推定読了時間 約3時間29分
star総合評価 28/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 21%

この本について

日々のタスクに追われていると、気づけば「感じる余白」みたいなものがどんどん薄くなっていく瞬間があります。何か大事なものを置き去りにしている気はするけれど、じゃあ何を取り戻したいのか自分でも言葉にできない。そういうモヤモヤを抱えているときに、ふと読み返したのが『時の果てのフェブラリー』でした。 この作品は、いわゆる技術的に“巧い”物語というより、感覚を揺らす情景描写が強く深く響くタイプの小説です。抜粋にもあるように、ひょろ長い四肢や渦巻く髪、床を這う霧の冷たさ——ただの風景なのに、どれも人間のかすかな弱さや孤独を抱き込んでいる。読む側のこちらも、不思議と自分の内側にある静かな部分を引き出されます。そして「愛はチョムスキー文法よりずっと深いところにある」という一文のように、説明できないものを説明しようとしない潔さが、この物語の芯になっている気がします。 特に効いたのは、言葉がうまく届かない関係のなかでも、人はそれでも誰かを想そうとする姿を丁寧に描いているところです。大げさな結論に走らず、ただ「そこに確かに在るもの」を淡く照らすような描き方をしてくれるので、読み終わったあと、自分の人間関係にも少しだけ違う角度から触れられるようになります。静かな場面ばかりなのに、どこか現実の感覚をリセットしてくれるような読後感もあります。 言葉にしづらい気持ちを抱えたまま、それでも誰かとつながりたいと思っている人に刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

アメリカのオクラホマをはじめとして、地球の6箇所に時間重力異常地帯〈スポット〉が出現した。直径10マイルの地帯に電磁誘導現象が起こり、重力異常が生む低気圧が全地球的な気候変動を作り出し、地球に危機が迫る。〈スポット〉は幾科学的に並び、自然現象とは思えなかった。あらゆる科学調査は失敗したが、超感覚知覚のオムニパシー能力を持つ11歳の少女フェブラリーだけが、ある仮説で謎を解明する。現地調査隊と共に彼女は〈スポット〉へと出発。その中では、時間が200倍に加速され、UFOが飛びかう驚くべき世界が…。●山本弘(やまもと・ひろし)作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。
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