
男しか行けない場所に女が行ってきました
田房永子
イースト・プレス / 2015-02-01
この本について
なんとなく「自分だけ違和感を抱えているのかな」と思いつつ、誰にも言えないまま飲み込んでいることってありますよね。特に、性にまつわるモヤモヤは、空気として刷り込まれた価値観が強すぎて、自分の感じ方のほうを疑ってしまうことも多いと思います。読んでいて、この本に刺さった人はまさにその「空気の正体」を言葉にしてほしかったんじゃないか、と強く感じました。 田房永子さんが描いているのは、男性の性欲だけが「微笑ましい」とされ、女性の性欲は最初から存在しないことにされてきた構造です。読者が保存していた部分は、まさにそこで奪われてきた視点を、作者が自分の体験をとおして丁寧に拾いなおしているところ。自分が「見守る側」に勝手に置かれた不自由さや、世代をまたいで受け継がれてきた諦めや怒りに名前がつくと、これまで整理できなかった感情が急に立ち上がってきます。 もうひとつ印象的なのは、著者が決して「男を攻撃したい」わけではないこと。山の比喩にあるように、誰かを倒したいのではなく、長年続いてきたしんどさを、そのまま次の世代に流したくないだけなんですよね。AKBのライブ体験のくだりも、男社会の裏側が“想像と違う”と分かった瞬間の拍子抜けや戸惑いがリアルで、性にまつわる固定観念がいかに強固かを逆に浮かび上がらせてくれます。 性別に関わらず、「なんでこの空気だけは変わらないんだろう」と感じてきた人に刺さると思います。誰かの正しさに合わせるんじゃなく、まず自分の感覚を取り戻すための一冊として、静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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