
教育という病~子どもと先生を苦しめる「教育リスク」~ (光文社新書)
内田 良
光文社 / 2015-06-20
この本について
学校行事のことを考えるとき、「なんとなく前からやっているし、まあ大丈夫だろう」と自分でも曖昧に流してしまう瞬間があります。とくに子どもの安全や“感動”を理由にしたイベントは、疑問を口にすると空気を壊すようで、モヤモヤだけが残りやすいんですよね。僕自身、組体操や行事の在り方について、うまく言語化できないまま引っかかり続けていました。 この本は、そんな“引っかかり”を一つずつ丁寧にほどいてくれます。印象的なのは、著者が感情論ではなく、実際の事故件数やエビデンスを淡々と並べていく姿勢です。「危ないと言い切れないから続ける」のではなく、「どんなリスクが存在しているのか」をいったんフラットに見つめ直すきっかけをくれる。さらに、組体操だけでなく、2分の1成人式のように“感動”が目的化したイベントが、家庭背景を抱える子どもにどんな負担を与えてしまうのか。あの場で何が見落とされやすいのか。読みながら、胸がざわつく場面が何度もありました。 特に刺さったのは、「つきもの論」という言葉です。事故や不満は“つきもの”だから、と思考が止まってしまう。その小さな停止が、現場のしんどさを積み重ねてしまう。自分の中にも同じ癖があると気づかされました。だからこそ、この本は何かを否定するためではなく、いま目の前で起きていることを自分の頭で考え直すための手がかりになると思います。 学校現場に近い人だけでなく、「感動でごまかされる空気に違和感がある人」には特に刺さる本です。読んだあと、行事の是非よりもまず“子どもと先生の安全と尊厳”という軸を取り戻せる感じがします。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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