
治さなくてよい認知症
上田 諭
日本評論社 / 2014-04
この本について
家族の物忘れが増えてきたとき、「ちゃんと説明すれば分かるはず」「間違いを直してあげないと」と焦ってしまうことってありますよね。言い返したくなる自分にもモヤモヤして、でも正解もわからない。そんなとき、この本の視点に救われる人は多いと思います。 読んでみて驚くのは、認知症のつらさの中心にあるものが“記憶”ではなく“関係性の揺らぎ”として描かれていることです。間違いを指摘され続けて自信を失ったり、置き去りにされる不安から疑いが強まったり──その背景にある孤立感を知ると、こちらの接し方も自然と変わります。たとえば「指摘しない・議論しない・怒らない」という基本姿勢が、単なるテクニックではなく、本人の自己肯定感を守るために必要なんだと腑に落ちるはずです。診察室で家族が本人の不満を話す瞬間に“表情が消える”描写は、胸に刺さる人も多いのではないでしょうか。 また、この本は家族だけで抱えこまないことにも現実的です。密着しすぎた関係は依存や疲労を生みやすく、むしろデイサービスのような外の支えを早いうちから入れる方が、両者にとって健全だと丁寧に説明されています。「長寿を祝うなら、認知症も否定しない社会であるべき」というメッセージも、未来の自分ごととしてすっと入ってきます。 身近な人の変化にどう向き合えばいいのか迷っている人、特に“正しくしようとするほど関係がぎくしゃくしてしまう”と感じている人には、とても静かに効いてくる一冊だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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