
百姓の力 江戸時代から見える日本 (角川ソフィア文庫)
渡辺 尚志
KADOKAWA / 2015-12-25
この本について
仕事でも生活でも、人との距離感や共同作業の温度差にモヤっとすることがあります。責任をどこまで引き受けるのか、周囲との合意をどうつくるのか。頭では「個人で決めればいい」と思いつつ、実際には周りの空気に揺れたり、説明責任の重さに疲れたりする。僕自身、そこにずっと居心地の悪さを感じてきました。 この本を読んで驚いたのは、こうした感覚が偶然ではなく、江戸時代の村の仕組みとつながっていたことでした。村請という連帯責任の制度や、寄合で物事を決める手続き、そして文書によって合意を残す文化。抜粋を読んだ方が保存していたのも、まさに村の意思決定が「誰か一人の裁量」から「村全体の相談」に移っていくところで、ここに今の僕らの行動パターンの源流があるのだと腑に落ちました。個人主義か共同体か、どちらが正しいという話ではなく、なぜ自分が“空気”に揺れるのか、その理由が歴史の手触りとして分かるのが面白いところです。 もう一つ印象に残るのは、百姓が決して受け身ではなかったという点です。訴訟を頻繁に使い、名主の不正を糾弾し、必要があれば移住まで選ぶ。僕らが「動きにくい」と感じる場面で、彼らはもっと粘り強く、時に大胆に選択していた。ここに触れると、自分も少しだけ視点を変えて動いてみようと思えるんです。 歴史が好きな人だけでなく、「人間関係の窮屈さの正体を知りたい人」に静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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