
教養として知っておきたい二宮尊徳 日本的成功哲学の本質は何か PHP新書
松沢 成文
PHP研究所 / 2016-03-15
この本について
仕事でも日常でも、人が集まる場がうまく回らないときってありますよね。話し合いをしているつもりなのに、結局は声の大きい人だけが得をして終わるとか、自分の意見を言っても流されてしまうとか。あのモヤモヤをどう扱えばいいのか、僕自身ずっと悩んでいました。 この本を読んで印象に残ったのは、尊徳が村の再建でまず「心」を整えるところから始めていた点です。いきなり制度を変えるのではなく、「芋こじ」と呼ばれる寄合いを何度も重ねて、人のやる気や意識を耕していく。時間はかかるけれど、その結果として村が自立していく流れは、仕事の現場でもそのまま応用できる感覚がありました。分度を立てることで無理をしない範囲を見定め、勤労は「知恵を働かせること」として捉え直し、成果が出たら少しだけ周りに回す推譲の考え方も、数字や評価に追われて視野が狭くなるときの支えになります。 特に、善と悪すら一つの円の中の要素だとみる「一円観」は、対立ばかり気にして心が疲れてしまう人にとって、余計な力みを抜く視点をくれます。誰かを敵にしなくても前に進める、というだけで、仕事の空気が変わる場面って意外と多いんですよね。 チームでのコミュニケーションに限界を感じている人、あるいは自分の働き方にどこか偏りがあると感じている人に特に刺さる本だと思います。尊徳の話は昔の偉人伝に聞こえるかもしれませんが、その中身は意外なほど現実的で、今日の仕事にもそのまま置き換えられるヒントが多いです。
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