
アメリカの鏡・日本 完全版 (角川ソフィア文庫)
ヘレン・ミアーズ and 伊藤 延司
KADOKAWA / 2015-12-25
この本について
ときどき、国際ニュースを見ていて「表で語られている理由と、実際の動きって違うんじゃないか」とモヤッとすることがあります。相手の国をどう評価するかも、その時代の力関係や“都合”でいくらでも姿が変わってしまう。そんな揺らぎの中で、自分が何を基準に考えればいいのか分からなくなる瞬間があるんですよね。 『アメリカの鏡・日本』は、そのモヤモヤに静かに効きます。日本やアメリカがどんな思惑で動き、どんな誤解や思い込みが政策になっていったのかを、当事者側の論理で読み解いてくれるからです。たとえば、戦争の原因として語られがちな「好戦的な民族性」が、実は国際環境によってつくられた像にすぎないこと。あるいは、欧米が日本を批判するとき、その裏に自分たちの権益保護があったこと。こういう事実を積み上げられると、歴史が急に“他人事”じゃなくなる感覚があります。 読み進めるうちに、「国家の論理」と「市民としての実感」は必ずしも一致しないんだな、と腹の底で理解できてきます。だからこそ、いま目の前で起きている国際問題を見る時にも、表の言葉だけで判断しない視点が身につく。本の中で語られる日米双方の勘違いや思い込みを追っていくと、自分の中の「当たり前」がひとつずつ溶けていく感じがします。 歴史認識の正しさを求めたい人よりも、「どうすれば今の世界を少しマシに読む力がつくんだろう」と悩んでいる人に刺さる一冊だと思います。
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