
「文系学部廃止」の衝撃 (集英社新書)
吉見俊哉
集英社 / 2016-02-22
この本について
文系が「役に立たない」と言われる空気って、日常のどこかでふと胸に引っかかることがあります。自分が専攻した学びに自信が持てないとか、大学そのものが疲弊しているように見えて理由がつかめないとか。モヤモヤはあるのに、問題の全体像まではなかなか手が届かないんですよね。 この本は、その曖昧な不安に輪郭を与えてくれます。文系が自ら「役に立たない」という思い込みを受け入れてしまっている現状や、理系中心の政策がどう積み重なってきたのかを、感情論ではなく事実ベースで示していきます。読んでいるうちに、「文系の危機」と言われるものが単なるトレンドではなく、競争的資金の仕組みや大学組織の再編、教員数の減少といった具体的な変化の積み重ねだったと見えてきます。大学が何に時間を取られ、どんな負担が生まれているのかが数字と制度の流れで説明されるので、これまでぼんやりしていた不安が「なるほど、そういうことか」に変わっていきます。 同時に、人文社会系が自然科学と別の角度から社会に貢献できる可能性や、文理を統合して新しい領域をつくる試みの必要性にも触れられていて、「文系 vs 理系」という対立ではなく、どうすれば知の生態系が健全にまわるのかという視点が得られます。文系の棚上げでも擁護でもなく、現実を直視したうえでどう動き得るのかを考える土台になる一冊です。 自分の学びの価値に揺らぎを感じている人、大学の現状を表面のニュースではなく構造から理解したい人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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