
教育の力 (講談社現代新書)
苫野一徳
講談社 / 2014-03-20
この本について
学校の話題になると、「なんであの空気ってあんなに息がしづらかったんだろう」と、昔のモヤモヤがふっとよみがえることがあります。序列が見えるようで見えない感じとか、グループ分けひとつで自分の立ち位置が揺れる感じとか。大人になった今も、似たような空気に出会うたびに説明のつかない居心地の悪さが残るんですよね。 『教育の力』は、その曖昧な生きづらさを「個人の性格」ではなく「社会がどう変化してきたか」という視点で整理してくれます。例えば、同質性が強く求められるようになった結果、学校の人間関係がかえって不安定になっていったこと。あるいは、産業社会からポスト産業社会への変化で、学校が本来育てるべき力が変わったのに、制度はまだ古いまま残っていること。自分の経験と社会の構造がつながっていく感じがあって、読むほどに「あ、あれってそういう背景があったのか」と少し呼吸がしやすくなります。 また、この本がいいのは「じゃあどうすればいいか」を現実的なスケールで語ってくれるところです。学び方を一斉型から個別化・協同化・プロジェクト型へゆるやかに広げていく話や、学校を開いて多様な人と関われる場にする話など、理想論ではなく、今の環境でも少しずつ実現できそうな視点が多い。相互承認が教育の土台になるという考え方も、決してきれいごとではなく、あの学校特有の不信感の正体を考えるヒントになります。 自分の学校経験の意味づけに悩んでいる人や、子どもとかかわる立場で「どう支えればいいのか」を整理したい人に、静かに効く一冊だと思います。
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