
がんでも長生き 心のメソッド
今渕恵子、保坂隆
マガジンハウス / 2016-01-28
この本について
がんに限らず、突然「生きる」と真正面から向き合わざるを得ない状況に置かれたとき、まず湧いてくるのって不安そのものよりも、“何をどう整理したらいいのか分からない”という戸惑いなんじゃないかと思います。怖さの正体がぼやけたままだから、余計にしんどい。今回の抜粋を見ていると、まさにそのモヤモヤに反応して保存した人が多い気がします。 この本が面白いのは、「死にたくない」という大きすぎる感情をいきなり乗り越えようとせず、一度ほぐして「なぜ自分はそう思うのか」と段階的に見にいく道筋を示してくれるところです。例えば、漠然とした恐怖の扉をいきなり開放するのではなく、まず大きさを確かめ、次に明かりをつけ、形を見ていくように、気持ちを具体化していく過程が丁寧に書かれています。それが最終的に「生きる目標」として手に取れる形になる。精神腫瘍科の視点や、ソーシャルサポートの三種類の説明も、感情の扱い方を“気合”や“前向きさ”ではなく現実的に整理してくれるので、読みながら肩の力が抜けました。 また、病院では運動処方が診療報酬にならない現状や、就労の悩みなど、治療と生活の狭間で生まれる実務的なつまずきにも触れていて、「気持ちの問題」だけでは語れない部分も拾ってくれます。だからこそ、がん経験者だけに限らず、生活や仕事が揺らいだときに“自分の足場を作り直したい人”にも届く本だと思います。 大げさな希望を押しつけない本なので、静かに軸を作りたいときにちょうどいい距離感です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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