
不平等との闘い ルソーからピケティまで (文春新書)
稲葉振一郎
文藝春秋 / 2016-05-20
この本について
仕事で「自分の努力だけではどうにもならない差」があるように感じたり、社会の仕組みそのものがどう回っているのか分からずモヤモヤすることってありますよね。自分の給料や働き方の限界を実感したときほど、その背景にあるルールを知りたくなるのに、経済の話は専門用語だらけで距離を置きたくなる……。少なくとも僕はずっとそうでした。 この本が効くのは、いま目の前で起きている不平等を「単なる印象」ではなく、歴史の流れとして捉え直せることです。ルソーが指摘した所有権制度の成り立ち、古典派が見ていた賃金の“自然な水準”という冷徹な前提、そしてマルクスがそこに割って入れようとした労働力の概念など、いまの格差に直結する考え方が一本につながっていきます。読むうちに、自分が参加している市場のルールがどんな発想で作られてきたのか、その枠組みの中でなぜ労働者の行動には限界が生まれるのかが、急に具体的に見えてきます。 もうひとつ助かったのは、改善のプロセスが「大思想家の名言」ではなく、実際に人々が動き、制度が変わることで積み上がってきたと分かる点です。ピケティまでの流れを追うことで、不平等をどう扱うかは常に社会全体の選択の結果だと分かり、自分の立ち位置も少し落ち着いて見られるようになりました。 おすすめしたいのは、努力と構造の境目でずっと悩んでいる人です。知識が武器というより、世界を見分ける眼鏡に変わる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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