
日清戦争 近代日本初の対外戦争の実像 (中公新書)
大谷正
中央公論新社 / 2006-05
この本について
歴史の本を読んでいると、ときどき「あの戦争って結局なんだったのか」「学校で習った枠組みだけじゃ全然足りないな…」みたいな宙ぶらりんの感覚が残ることがあります。特に日清・日露あたりは、知っているつもりでも具体的な実像が見えてこないまま大人になってしまった、という人が多い気がします。僕もその一人でした。 この本は、そのモヤモヤを少しずつほどいてくれます。例えば、日露戦争が“二流帝国同士の戦い”として総力戦になりきらなかった理由や、長崎がロシアの極東経営の実質的な補給拠点になっていた事実など、学校ではまず触れないディテールが続きます。地図の外側に追いやられがちな人や物資の動きが見えてくると、戦争が抽象的な国家同士の対立ではなく、生活の延長にあった出来事として立ち上がってくるんですよね。また、台湾での死者が多かった背景に、戦闘よりも風土病や栄養不足が大きく影響していたという点は、戦争の「現場の現実」に引き戻してくれます。 歴史の大きな構図だけを追うのではなく、そこに生きていた人々の具体的な動きや、国同士の微妙な関係の絡まりを知りたい人にはぴったりの一冊だと思います。僕自身、ただ年号を並べるだけではつかめなかった「なぜそうなったのか」が、ようやく手触りのあるものになりました。こういう実像に触れると、過去を“遠い話”として切り離すのが難しくなりますが、そこにこそ読む意味がある気がします。 こんな人に刺さると思います。知識の穴を埋めたいというより、「歴史の空気を実感したい」タイプの人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの60%が集中しています。
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