
この本について
歴史の話になると、「どこまでが事実で、どこからが国同士の思惑なのか」がよく分からなくて、そのままモヤモヤを抱えたまま終わってしまうことが多いと思います。特に日中の近現代史は、学校で習ったことと大人になってから聞く話が食い違っていて、何を信じればいいのか迷うんですよね。僕自身もそうで、興味はあるのに一歩踏み込むほど自信がなくなる分野でした。 この本は、その曖昧な部分に踏み込むときの“地図”みたいな役割をしてくれます。例えば、リットン報告書の裏にあった「日本には実、中国には花」という発想を知るだけでも、表向きの言葉と本音が必ずしも一致していなかった当時の外交の空気が少し読みやすくなるはずです。また、西洋における所有権の考え方——土地の境界を明確にし、許可なき侵入は排除できなければ所有権とは言えない——という価値観を理解すると、鴨緑江をめぐる緊張や満洲の扱われ方が、単なる対立構図ではなかったことにも気づかされます。孫文や小坂善太郎といった人物の動きも、善悪ではなく「どんな世界観を前提に動いていたのか」という視点で捉え直せるのが面白いところです。 歴史を感情論ではなく、当事者の前提や価値観ごと理解したい人に刺さる一冊だと思います。読み終わる頃には、「なんとなく知ってる」状態から一歩外に出て、今のニュースを読む視点も少し変わっているはずです。
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