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ゴリオ爺さん (光文社古典新訳文庫)

ゴリオ爺さん (光文社古典新訳文庫)

バルザック、中村 佳子

グーテンベルク21 / 1950-01-01

累計読者数3
平均ハイライト数 6.3件/人
推定読了時間 約5時間42分
star総合評価 26/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 13%

この本について

最近、まわりの景色がやけに平板に見えてしまう時があります。仕事でも生活でも、気持ちが動く瞬間が減って、どこか自分が薄くなったような感覚になるというか。そんなときに、あえて少し暗い場所に降りていくような読書が救いになることがあります。『ゴリオ爺さん』を読んでいた読者の方が保存していた抜粋を見て、まさにその感覚を思い出しました。 この作品は、いきなり派手なドラマが始まるわけではなく、まず「暗さ」に馴染ませてくるんですよね。地下墓地へ階段を降りるように、パリの谷間の湿った空気や、下宿屋の窓の揃わないブラインド、鉄格子のはまった一階の窓といった、生活感のある陰影をじわじわ見せてくる。読んでいるうちに、自分の中の鈍かった感情が少しずつ動きだす感じがありました。嫌なものや苦い現実を押し込めず、そのまま触れてみると違う輪郭が見えてくる、そんな作用がある気がします。 もう一ついいのは、登場人物たちの「苦しさ」の描かれ方が妙にリアルで、でも大げさに悲劇化していないところです。パリという土地の持つ濁りや雑音の中で、人がどうやって自尊心や欲望と折り合っているのかが、観察日記のような距離感で描かれる。だからこそ、読者の誰かしらに必ず通じるものがある、という一文が腑に落ちるんです。自分の現実にも似た湿り気があるな、と素直に思えてしまう。 派手なカタルシスより、現実のざらつきをじっくり味わいたい人に刺さる一冊だと思います。暗さに耐えるためではなく、暗さの中にいる自分を確認したいときにそっと開く本として、意外と心に効きます。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

パリのうらぶれた一画にある、うらぶれた下宿屋ヴォーケル館にうごめく人たち。自分はしみったれた暮らしを送りながら、嫁いだ二人の娘の言うままになって全財産をつぎこむゴリオ、いつの日か、社交界に打って出るか、学位をとって出世しようと、野望をたくましくする田舎出の青年ラスティニャック、反社会的な言辞をろうする得体の知れない四十がらみの大男ヴォートラン......徹底したエゴと妄執を描くバルザックの「人間喜劇」の代表作のひとつ。
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